相加平均と相乗平均の関係とは?3つのときはどうなる?等号成立って何?そんな悩みを解決します!

式と証明
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数学の証明問題で忘れた頃に出てくる相加平均と相乗平均の関係

「相加平均と相乗平均の関係」って何?いつ使うの?

3つのときはどうなるの?

といった悩みを抱えている人は必見です!

こんな人に向けて書いてます!

  • 「相加平均と相乗平均の関係」を使う問題が苦手な人
  • 「相加平均と相乗平均の関係」が3つのときがわからない人
  • 等号成立ってどういうこと?という人
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1. 「相加平均と相乗平均の関係」って何?

まず最初に「相加平均と相乗平均の関係」がどんな関係だったか復習してきましょう!

「もうそんなの知ってるぜ!」という人は次の章まで飛ばしてもらってOKです!


いきなり結論から見せますね!


相加平均と相乗平均の関係

\( a\geq0,b\geq0 \)のとき、

$$\frac{a+b}{2}\geq\sqrt{ab}$$

(等号が成り立つのは\(a=b\)のとき)


相加平均」というのは、\(\displaystyle\frac{a+b}{2}\) のことです。

いわゆる普通の平均ですよね。


70点と90点の平均を求めよと言われたら、\(\displaystyle\frac{70+90}{2}\)を計算すると思いますが、それと同じです。


一方で「相乗平均」というのは、\(\sqrt{ab}\)のことです。

こっちはあまり見慣れない平均だと思います。


相加平均は足して割りましたが、相乗平均は掛けて平方根を取るといった感じです。

まぁ普通に\(\sqrt{ab}\)で覚えた方が早いですかね(笑)


そして、「(相加平均)(相乗平均)」になることが知られています。

これが「相加平均と相乗平均の関係」です。

証明はこの記事の第4章でやります。 


さてここで、

パイ子ちゃん
パイ子ちゃん

どっちの方が大きくなるのか忘れちゃうんだよね〜

という人のために簡単な思い出し方を教えてあげます。

どうやって思い出すかというと、

1と2の相加平均と相乗平均を試しに求めてみましょう。

すると、1と2の相加平均は、\(\displaystyle\frac{1+2}{2}=\frac{3}{2}=1.5\) ですね。

また、1と2の相乗平均は、\(\sqrt{1\times2}=\sqrt{2} \approx 1.41\) となります。

そしたら、\(1.5>1.41\)なので、相加平均の方が大きくなるというのがすぐにわかりますよね!

 

シグ魔くん
シグ魔くん

あと、「等号が成り立つのは\(a=b\)のとき」って何?

と思った人も多いと思いますが、等号が成り立つというのは、\(\displaystyle\frac{a+b}{2}=\sqrt{ab}\)となるときのことです。


「この条件っていつ使うの?」と疑問に思うかもしれませんが、それはこの記事の第2章の最後の方でお話しします。


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2. いつ使う?「相加平均と相乗平均の関係」

さっそくですが、相加平均と相乗平均の関係をいつ使うか、ポイントを紹介します!

次の3つの条件を満たしているときは、相加相乗平均の関係を疑いましょう!


「相加平均と相乗平均の関係」を使うタイミング

  • 2つの数(文字)がどちらも正
  • 2つの式をかけると約分されて文字が消える
  • 不等式を証明する、または最小値を求める問題のとき


具体的な問題で確認してみましょう!


例題1

\(a>0\)とする。次の不等式が成り立つことを証明せよ。

$$a+\frac{4}{a}\geq4$$

また、等号が成り立つのはどのようなときか。


 例題1の解説 

ここで注目すべきポイントは、\(a>0\)です。


「わざわざ\(a\)を正の範囲に限定していることに何か意味があるのでは?」

と疑いましょう。すると、

シグ魔くん
シグ魔くん

あ!そういえば、相加平均と相乗平均の関係って、\(a\geq0,b\geq0\)のときにしか使えなかったはず!

と気づけます。


逆に言えば、\(a>0,b>0\)という条件がなかったら、相加相乗平均の関係を使うことはまずありません。

なので、問題文をよく見て、正の数なのかどうかを確認するようにしましょう!

これは、他の問題でも数学を解く上ではとても重要なポイントなので、ぜひ今日から意識してみてくだいさい!


そして、もう一つのポイントは、\(a\)と\(\displaystyle\frac{4}{a}\)は、かけると約分されて\(a\)が消えることです。

このように掛け算をして文字が消えたら、ほぼ間違いなく相加相乗平均の関係の出番です!


実際に解いてみます!

\(a>0\) , \(\displaystyle \frac{4}{a}>0\)より、相加平均と相乗平均の関係から、

\(\displaystyle a+\frac{4}{a} \geq 2\sqrt{a\times\frac{4}{a}}\)

\(\displaystyle \hspace{3em} =2\sqrt{4}\)

\(\hspace{3em} =4\)

となります!


また、等号が成り立つのは、

$$a=\frac{4}{a}$$

より、

$$a^2=4$$

であり、\(a>0\)なので、

$$a=2$$

のときです!

(例題1終わり)



今回の\(\displaystyle a,\frac{4}{a}\)のような逆数の関係の数と、\(a>0\)という意味深な条件があると相加相乗平均をつかう合図だと思いましょう。


また、相加相乗平均の関係は不等式を証明するだけでなく、最小値を求めるときにも使います。


そして、最小値を求めるときは等号が成立する条件がポイントになってきます!

次の例題を解いてみましょう!


例題2

\(a>0\)のとき、\(\displaystyle a-2+\frac{2}{a+1}\)の最小値を求めよ。


 例題2の解説 

まず注目すべき点は意味深な\(a>0\)ですね。

この時点で相加相乗平均を使う匂いがプンプンします。


ですが、ここで一つ懸念が生じます。

シグ魔くん
シグ魔くん

あれ、\(a-2\)と\(\displaystyle \frac{2}{a+1}\)ってかけても約分できなくない?


そうなんです!

相加相乗平均の関係は約分して文字が消えるというのが嬉しいわけです。


じゃあ、この問題のように約分できないときはどうするか。。。


それは、\(a-2=(a+1)-3\)として、\(\displaystyle \frac{2}{a+1}\)とうまく約分できるように調整します。


では、実際に解いてみます!


\(\displaystyle a+1>0,\frac{2}{a+1}\)より、相加平均と相乗平均の関係から、

\(\displaystyle a+1+\frac{2}{a+1}\)

\(\displaystyle \hspace{2em}\geq2\sqrt{a+1\times\frac{2}{a+1}}\)

\(\hspace{2em} =2\sqrt{2}\)

両辺から3を引くと、

$$a-2\geq2\sqrt{2}-3$$

となります。

ここで、等号成立は、\(\displaystyle a+1=\frac{2}{a+1}\)から、

$$(a+1)^2=2$$

であり、\(a>0\)より、

$$a=\sqrt{2}-1$$

のときになります!


したがって、答えは、

\(a=\sqrt{2}-1\)のとき最小値\(2\sqrt{2}-3\)

となります!

(例題2終わり)



さて、例題2でこんな疑問をもっている人がたくさんいると思います。

パイ子ちゃん
パイ子ちゃん

例題1と違って、「等号が成り立つときを求めよ」と言われてないから、求めなくてもいいんじゃないの?

その答えはノーです。


では、なぜ等号が成り立つときを求めなければならないのでしょうか。

ポイントはこの式です:

$$a-2\geq2\sqrt{2}-3$$


この式が意味していることは、「\(a-2\)の最小値が\(2\sqrt{2}-3\)」ではありませんよね。

「\(a-2\)は\(2\sqrt{2}-3\)以上」ですよね。


ということは、\(a-2=100\)だったとしても、この不等式は正しいことになります。

別に、\(a-2=2\sqrt{2}-3\)になる必要はないのです。


例えば、A君が毎回テストで100点しかとらないなら、テストの最小値は100点ですね。

ですが、もしA君が「俺のテストはいつも70点以上だよ」と言っても、正しいことを言っていますよね。

(数学的には、「(A君のテスト)=100点 ≧ 70点」となりますね。)

A君はいつも70点以上と言っただけで、実際に70点をとったことがあるかどうかは、この発言だけではわからないのです。


なので、本当に70点をとったことがあるのかどうかをチェックする必要が出てきますね。


これが、等号が成立するときを確かめるということなのです。

つまり、最小値を本当にとるのかを確かめるために、等号成立を確かめる必要があるということです。


3. 3つ以上のときの相加相乗平均の関係

ここまで学んできた相加平均と相乗平均の関係は、文字が\(a\)と\(b\)の二つでした。

となると、当然次のような疑問が生じます。

じゃあ\(a\),\(b\),\(c\)のように、文字が3つになるとどうなるの?

3つのときの相加平均と相乗平均の関係は次のようになります。

見出し相加平均と相乗平均の関係(3つのとき)

\(a\leq 0,b\leq 0, c\leq 0\)のとき、

$$\frac{a+b+c}{3}\geq \sqrt[3]{abc}$$

(等号成立は\(a=b=c\)のとき)


ここで、\(\sqrt[3]{abc}\)は\(abc\)の3乗根(つまり、3乗すると\(abc\)になる数)です。

3乗根については、詳しくは下の記事を参照ください。


さらに、一般に\(n\)個のときの相加相乗平均の関係は次のようになります。

相加平均と相乗平均の関係(\(n\)個のとき)

\(a_1\geq 0,a_2\geq 0, \cdots , a_n\geq 0\)のとき、

$$\frac{a_1+a_2+\cdots+a_n}{n}\geq \sqrt[n]{a_1a_2\cdots a_n}$$

(等号成立は\(a_1=a_2=\cdots=a_n\)のとき)


このように、3つのときや\(n\)個のときも、2つのときと同様の関係が成り立ちます。


相加平均と相乗平均の関係(3つのとき)

相加相乗平均の関係(n個のとき)

4. 相加平均と相乗平均の関係の証明

さて、ここからは興味のある人だけで大丈夫です。

証明と聞いただけで頭痛がするという人は、この先はまた今度見にきてくださいね。


では、証明の方針を考えていきます。

不等式の証明方法はいろいろありますが、いちばんよく使うのは、

\(A\geq B\)を示すために、\(A-B\geq0\)を示す方法です。

この後は、みなさんおなじみの公式「\(a^2-2ab+b^2=(a-b)^2\)」を使います。

このとき、右辺は2乗しているので、0以上ということがわかります。

そうすれば、大体の証明が終わります。

ということで、実際に証明を書いていきます。

証明 (相加平均と相乗平均の関係)

\(a>0,b>0\)のとき、

   \(a+b-2\sqrt{ab}\)

  \(=(\sqrt{a})^2+(\sqrt{b})^2-2\times\sqrt{a}\times\sqrt{b}\)

  \(=(\sqrt{a}-\sqrt{b})^2\geq0\)

また、等号が成り立つときは、\( ({a}-\sqrt{b})^2=0 \)より、\(a=b\)である。

(証明終わり)

式と証明数学Ⅱ
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コメント

  1. 福田 より:

    とてもわかりやすい解説をありがとうございました。
    いつも学校の先生がこんなふうに数学を教えてくれると
    だれもが数学を好きになると思いました。

    ところで、
    いろいろな数学の定理がありますが、
    相加平均>相乗平均はどのようなことがきっかけで
    生まれたのでしょうか?

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