【行列】って何に使うの?「基本変形」編〜連立方程式を楽に解こう!〜

【行列】って何に使うの?〜「基本変形」編大学数学

今回は行列を使って連立一次方程式を解いてみようと思います。

第2章では「行基本変形」や「ガウス行列」の説明をしています。

第3章では、それらを使って実際に行列を使った連立方程式の解き方を解説しています。


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1. 連立一次方程式と行列

\(n\)変数の一次方程式\(m\)個からなる連立一次方程式は、
\begin{cases}
a_{11}x_1+a_{12}x_2+\cdots+a_{1n}x_n=b_1 \\
a_{21}x_1+a_{22}x_2+\cdots+a_{2n}x_n=b_2 \\
\hspace{6em} \vdots \\
a_{m1}x_1+a_{m2}x_2+\cdots+a_{mn}x_n=b_m \\
\end{cases}

といった形をしています。


ここで、

行列\(A=\left(
\begin{array}{cccc}
a_{11} & a_{12} & \cdots & a_{1n} \\
a_{21} & a_{22} & \cdots & a_{2n} \\
\vdots & \vdots & & \vdots \\
a_{m1} & a_{m2} & \cdots & a_{mn}
\end{array}
\right)\), ベクトル\({\bf x}=
\left(
\begin{array}{c}
x_1 \\
x_2 \\
\vdots \\
x_n
\end{array}
\right)\), ベクトル\({\bf b}=
\left(
\begin{array}{c}
b_1 \\
b_2 \\
\vdots \\
y_m
\end{array}
\right)\)

と定めると、上の連立一次方程式は、

$$A{\bf x}={\bf b}$$

と表すことができますね?


「なんで?」「どういうこと?」となっている人は、下の記事で行列の積について復習しよう!


例えば、連立一次方程式

\begin{cases}
2x+y=5 \\
x+2y=4
\end{cases}

は、行列とベクトルを使って、

$$\left(\begin{array}{cc} 2 & 1 \\ 1 & 2 \end{array}\right) \left(\begin{array}{c} x \\ y \end{array}\right) = \left(\begin{array}{c} 5 \\ 4 \end{array}\right)$$

と表すことができますね。


このように、一次方程式は行列とベクトルを用いて表すことができます。


ということは、行列の考え方を使って一次方程式を解くことができるのです!


そこで登場する行列の考え方については次の章で紹介します。

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2. 行列の行基本変形

行基本変形とは

次の3つの操作のことを「行基本変形」と言います。


行基本変形
  1. ある2つの行を入れ替える
  2. ある行に0でない数をかける
  3. ある行に他の行の定数倍を加える



具体例で考えてみましょう。


行列\(E=\left(\begin{array}{ccc} 1 & 0 & 0 \\ 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{array}\right)\)に対して、


1. ある2つの行を入れ替える:

  \(\left(\begin{array}{ccc} 0 & 1 & 0 \\ 1 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{array}\right)\) : 1行目と2行目を入れ替えた


2. ある行に0でない数をかける

  \(\left(\begin{array}{ccc} 1 & 0 & 0 \\ 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 2 \end{array}\right)\) : 3行目を2倍した


3. ある行に他の行の定数倍を加える

  \(\left(\begin{array}{ccc} 1 & 0 & 2 \\ 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{array}\right)\) : 1行目に3行目の2倍を加えた


ガウス行列

次の4つの性質を満たす行列を「ガウス行列」と言います。

ガウス行列
  1. ある行に0でない数があるとき、最も左にある0ではない数は1である。(これを先頭の1という)
  2. 全てが0である行があれば、それらは下の方に集められている。
  3. 上の行の先頭の1は下の行の先頭の1より左にある。
  4. 先頭の1を含む列の他の数は全て0である。

上の定義を満たす行列を「既約ガウス行列」と呼び、より制限をゆるめたものを「ガウス行列」として定義することもあります。

しかし、今回は簡単のため、上の定義を満たす行列のことを「ガウス行列」と呼ぶことにします。


さっぱりわからん。。。


定義は複雑ですが、例を見ればすぐに理解できると思います。


\(\left(\begin{array}{cccc} \color{red}{1} & 0 & 3 & 0 \\ 0 & \color{red}{1} & 2 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & \color{red}{1} \end{array}\right)\) , \(\left(\begin{array}{ccccc} \color{red}{1} & 1 & 0 & 0 & 1 \\ 0 & 0 & \color{red}{1} & 0 & 1 \\ 0 & 0 & 0 & \color{red}{1} & 1 \\ 0 & 0 & 0 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 0 & 0 \end{array}\right)\)

赤色が先頭の1だね!

ガウス行列は先頭の1が階段のようになっているから、(既約)階段行列ともいうよ!


ガウス行列への変形

行基本変形とガウス行列について理解したところで、次の例題を解いてみましょう!

例題1

次の行列をガウス行列に行基本変形せよ:

$$\left(\begin{array}{cccc} 0 & 1 & -2 & 3 \\ 2 & 0 & 1 & 5 \\ 1 & -3 & 4 & 0 \\ -1 & -3 & 3 & -5 \end{array}\right)$$


 例題1の解説 

行基本変形するときは、左から順番に先頭の1を作っていくようにしましょう。


いちばん左が1になっているのが3行目なので、これを1行目に持ってきましょう。

ということで、行基本変形の 1. を使って、1行目と3行目を入れ替えます。

  \(\left(\begin{array}{cccc} \color{red}{1} & -3 & 4 & 0 \\ 2 & 0 & 1 & 5 \\ 0 & 1 & -2 & 3 \\ -1 & -3 & 3 & -5 \end{array}\right)\) : 1行目と3行目を入れ替えた


1行目の先頭の1が1行目にあるので、先頭の1を除いて、1行目はすべて0にする必要があります。

これは、行基本変形の 3. を使えば良さそうですね。

  \(\left(\begin{array}{cccc} \color{red}{1} & -3 & 4 & 0 \\ 0 & 6 & -7 & 5 \\ 0 & 1 & -2 & 3 \\ -1 & -3 & 3 & -5 \end{array}\right)\) : 1行目の-2倍を2行目に加えた

  \(\left(\begin{array}{cccc} \color{red}{1} & -3 & 4 & 0 \\ 0 & 6 & -7 & 5 \\ 0 & 1 & -2 & 3 \\ 0 & -6 & 7 & -5 \end{array}\right)\) : 1行目(の1倍)を4行目に加えた


ここで、2行目と4行目を比べると、比例の関係にあることがわかります。

つまり、2行目を-1倍すると4行目になりますね。


ということは、2行目を(1倍して)4行目に加えると、4行目はすべて0にできますね。

  \(\left(\begin{array}{cccc} \color{red}{1} & -3 & 4 & 0 \\ 0 & 6 & -7 & 5 \\ 0 & 1 & -2 & 3 \\ 0 & 0 & 0 & 0 \end{array}\right)\) : 1行目(の1倍)を4行目に加えた


次に、3行目の2列目の1を先頭の1にしようと思います。

ということで、行基本変形の 1. より、

  \(\left(\begin{array}{cccc} \color{red}{1} & -3 & 4 & 0 \\ 0 & \color{red}{1} & -2 & 3 \\ 0 & 6 & -7 & 5 \\ 0 & 0 & 0 & 0 \end{array}\right)\) : 2行目と3行目を入れ替えた

となります。


そしたら同じように、先頭の1以外の2列目の成分を全て0にしましょう。

  \(\left(\begin{array}{cccc} \color{red}{1} & 0 & -2 & 9 \\ 0 & \color{red}{1} & -2 & 3 \\ 0 & 6 & -7 & 5 \\ 0 & 0 & 0 & 0 \end{array}\right)\) : 2行目の3倍を1行目に加えた

  \(\left(\begin{array}{cccc} \color{red}{1} & 0 & -2 & 9 \\ 0 & \color{red}{1} & -2 & 3 \\ 0 & 0 & 5 & -13 \\ 0 & 0 & 0 & 0 \end{array}\right)\) : 2行目の-6倍を3行目に加えた


次に、3列目の先頭の1を作りたいので、行基本変形の 2. を使って、3行目を\(\frac{1}{5}\)倍しましょう。

  \(\left(\begin{array}{cccc} \color{red}{1} & 0 & -2 & 9 \\ 0 & \color{red}{1} & -2 & 3 \\ 0 & 0 & \color{red}{1} & -\frac{13}{5} \\ 0 & 0 & 0 & 0 \end{array}\right)\) : 3行目を\(\frac{1}{5}\)倍した


そしたら、3列目を0にしましょう!

  \(\left(\begin{array}{cccc} \color{red}{1} & 0 & 0 & \frac{19}{5} \\ 0 & \color{red}{1} & -2 & 3 \\ 0 & 0 & \color{red}{1} & -\frac{13}{5} \\ 0 & 0 & 0 & 0 \end{array}\right)\) : 3行目を\(\frac{1}{5}\)倍した

  \(\left(\begin{array}{cccc} \color{red}{1} & 0 & 0 & \frac{19}{5} \\ 0 & \color{red}{1} & 0 & -\frac{11}{5} \\ 0 & 0 & \color{red}{1} & -\frac{13}{5} \\ 0 & 0 & 0 & 0 \end{array}\right)\) : 3行目を\(\frac{1}{5}\)倍した


これで、ガウス行列に行基本変形することができました!


行基本変形する手順はいろいろあるので、なるべく少ない回数で変形できるようにやってみましょう!

(例題1終わり)



3. 行基本変形と連立方程式

さて、前の章で行列の行基本変形について勉強しました。


たぶん多くの人は、

行基本変形と連立方程式になんの関係があるの?

となっていると思います。


実は、連立方程式を解く手順は行基本変形に対応しているのです!


例をみてみましょう。


例題2

連立方程式

$$\begin{cases}
2x+y=5 \\
x+2y=4
\end{cases}$$

を解け。


 例題2の解説 

第1章で、連立方程式は行列とベクトルを使って

$$A{\bf x}={\bf b}$$

表すことができることを学びました。


今回の連立方程式なら、

\(A=\left(\begin{array}{cc} 2 & 1 \\ 1 & 2 \end{array}\right)\) , \({\bf x}=\left(\begin{array}{c} x \\ y \end{array}\right)\) , \(\left(\begin{array}{c} 5 \\ 4 \end{array}\right)\)

と置くことで、\(A{\bf x}={\bf b}\)と表すことができます。


ここで、行列\(A\)の右にベクトル\(\bf b\)をつけて得られる行列\((A|\bf b)\)について考えます。

この行列\((A|\bf b)\)を拡大係数行列と呼びます。


今回の例題なら、拡大係数行列は、

$$\left(\begin{array}{cc|c} 2 & 1 & 5 \\ 1 & 2 & 4 \end{array}\right)$$

となりますね!

拡大係数行列にある縦棒( | )は
見やすくするために引いているだけだよ!


そして、この拡大係数行列をガウス行列に変形することが、連立一次方程式を解くことに対応しているのです!


実際に比較してみましょう!


$$\begin{cases}
2x+y=5 &\hspace{1em}\cdots(1) \\
x+2y=4 &\hspace{1em}\cdots(2)
\end{cases}$$

$$\left(\begin{array}{cc|c} 2 & 1 & 5 \\ 1 & 2 & 4 \end{array}\right)$$




\((2)\)を-2倍して\((1)\)に加える

$$\begin{cases}
-3y=-3 &\hspace{1em}\cdots(1){^\prime} \\
x+2y=4 &\hspace{1em}\cdots(2)
\end{cases}$$

2行目の-2倍を1行目に加える

$$\left(\begin{array}{cc|c} 0 & -3 & -3 \\ 1 & 2 & 4 \end{array}\right)$$




(\(1)^{\prime}\)の両辺を\(-\frac{1}{3}\)倍する

$$\begin{cases}
y=1 &\hspace{1em}\cdots(1)^{\prime\prime} \\
x+2y=4 &\hspace{1em}\cdots(2)
\end{cases}$$

1行目を\(-\frac{1}{3}\)倍する

$$\left(\begin{array}{cc|c} 0 & 1 & 1 \\ 1 & 2 & 4 \end{array}\right)$$




\((1)^{\prime\prime}\)を-2倍して\((2)\)に加える

$$\begin{cases}
y=1 &\hspace{1em}\cdots(1)^{\prime\prime} \\
x=2 &\hspace{1em}\cdots(2)^{\prime}
\end{cases}$$

1行目の-2倍を2行目に加える

$$\left(\begin{array}{cc|c} 0 & 1 & 1 \\ 1 & 0 & 2 \end{array}\right)$$




\((2)^{\prime}\)と\((1)^{\prime\prime}\)を入れ替える

$$\begin{cases}
x=2 &\hspace{1em}\cdots(2)^{\prime} \\
y=1 &\hspace{1em}\cdots(1)^{\prime\prime}
\end{cases}$$

1行目の-2倍を2行目に加える

$$\left(\begin{array}{cc|c} 1 & 0 & 2 \\ 0 & 1 & 1 \end{array}\right)$$




よって、

\(x=2\) , \(y=1\)

よって、

$$\left(\begin{array}{cc} 1 & 0 \\ 0 & 1 \end{array}\right) \left(\begin{array}{c} x \\ y \end{array}\right) = \left(\begin{array}{c} 2 \\ 1 \end{array}\right)$$

(例題1終わり)



このように、拡大係数行列をガウス行列に行基本変形すれば、連立一次方程式を解くことができるのです!


今回は文字の数も方程式の数も2つしかなかったので、行列を使うまでもなかったかもしれません。


ですが、これが文字が3つになったり、方程式の数が4つとかになってくると、普通に求めるのが大変になってきますよね。


行列を使う方法は文字や方程式が増えても、比較的簡単に解くことができるのでおすすめです!

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