【その確率、足す?掛ける?】確率の「和の法則」と「積の法則」の使い分け;「排反」と「独立」とは?

【その確率、足す?掛ける?】確率の「和の法則」と「積の法則」の使い分け;「排反」と「独立」とは?場合の数と確率

今回は、「確率を足すときと掛けるときは何が違うの?」という疑問に答えていきたいと思います!

第1章では、足すときと掛けるときの判断の仕方について、結論をまとめました。

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1. いきなり結論!

事象\(A\)が起こる確率を\(P(A)\)、事象\(B\)が起こる確率を\(P(B)\)としましょう。

「事象」というのは、簡単にいうと「シチュエーション」のことだよ!

「サイコロを振って1がでるシチュエーション」のことを、

数学では「サイコロを振って1がでる事象」と言って、\(A\)とか\(B\)で表すんだね!



このとき、2つの確率の和\(P(A)+P(B)\)は、

「事象\(A\)または事象\(B\)のどちらか一方が起こる確率」

を表しています。


ただし、このときは事象\(A\)と事象\(B\)が排反であることが前提条件になります。




一方で、2つの確率の積\(P(A)P(B)\)は、

「事象\(A\)が起こり、かつ事象\(B\)が起こる確率」

を表しています。


ただし、このときは事象\(A\)と事象\(B\)が独立であることが前提条件となります。

排反や独立については、後で詳しく解説します!



ここまでを簡単にまとめると次のようになります。

\(A\)または\(B\)の確率:\(P(A)+P(B)\) (足し算)

\(A\)かつ\(B\)の確率:\(P(A)P(B)\) (掛け算)

かつ」なのか「または」なのかがポイントなんだね!

\(A\) or \(B\) なら、足し算

\(A\) and \(B\) なら、掛け算

と考えてもいいね!

実際に例題を用いて確認してみましょう!


例題1

2つの袋A,Bがある。

 袋Aには、赤玉3つ、黄玉2つ、緑玉4つが入っていて、

 袋Bには、赤玉2つ、黄玉4つ、緑玉3つが入っている。

袋A,Bからそれぞれ玉を一つずつ取り出すとき、次の確率を求めよ。

(1) 取り出した玉が両方赤玉である確率

(2) 取り出した玉が両方同じ色である確率

袋A,B


 例題1の解説 

まず、(1)から考えましょう。


袋Aから赤玉を取り出す事象を\(A\)、袋Bから赤玉を取り出す事象を\(B\)とします。


このとき、事象\(A\) , 事象\(B\)が起こる確率\(P(A)\) , \(P(B)\)はそれぞれ、

\(\displaystyle P(A)=\frac{3}{9}=\frac{1}{3}\) , \(\displaystyle P(B)=\frac{2}{9}\)

と表せますね。


さて、ここで問題です。


取り出した玉が両方赤玉である確率は、

\(P(A)\)と\(P(B)\)を足したものでしょうか?掛けたものでしょうか?


「\(A\)(袋Aから赤玉) または \(B\)(袋Bから赤玉)」

それとも、「\(A\) かつ \(B\)」?


両方が赤玉ということは、

事象\(A\)(袋Aから赤玉を取り出す) かつ 事象\(B\)(袋Bから赤玉を取り出す)

ということですよね…?


\(A\)かつ\(B\)の確率を求めたいときは、2つの確率を掛ければよかったので、

取り出した玉が両方赤玉である確率は、

$$P(A)\times P(B)=\frac{1}{3}\times\frac{2}{9}=\frac{2}{27}$$

となります!




次に、(2)の問題を考えましょう。

求めたい確率は、「取り出した玉が両方同じ色である確率」でした。


「取り出した玉が両方同じである事象(シチュエーション)」は次の3つの(排反な)事象に分けることができます。

  • \(R\):取り出した玉が両方赤玉である事象
  • \(Y\):取り出した玉が両方黄玉である事象
  • \(G\):取り出した玉が両方緑玉である事象


3つのそれぞれの事象に、\(R,Y,G\)という名前を付けているよ!

(1)で言うところの\(A\)や\(B\)みたいなものだね!


(1)より、事象\(R\)が起こる確率\(P(R)\)は、

$$P(R)=\frac{2}{27}$$

でした。


同様にして、事象\(Y\) , \(G\)が起こる確率\(P(Y)\) , \(P(G)\)はそれぞれ、

$$P(Y)=\frac{2}{9}\times\frac{4}{9}=\frac{8}{81}$$

$$P(G)=\frac{4}{9}\times\frac{3}{9}=\frac{4}{27}$$

となります。


では、取り出した玉が両方同じ色である確率は、

\(P(R)\)と\(P(Y)\)と\(P(G)\)を足したものですか?掛けたものですか?


\(R\)(両方赤) または \(Y\)(両方黄) または \(G\)(両方緑) かな?

それとも、\(R\) かつ \(Y\) かつ \(G\) かな …?


両方同じ色であるということは、

事象\(R\) または 事象\(Y\) または 事象\(G\)

ということになりますね?


\(R\) または \(Y\) または \(G\) である確率は、それぞれの確率を足せば良かったので、

取り出した玉が両方同じ色である確率は、

\(P(R)+P(Y)+P(G)\)\(\displaystyle=\frac{2}{27}+\frac{8}{81}+\frac{4}{27}=\frac{26}{81}\)

となります!

(例題1終わり)


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2. 「和の法則」と事象の排反性

排反とは?

第1章では、事象\(A\)または事象\(B\)が起こる確率は、それぞれの確率の和、つまり

$$P(A)+P(B)$$

で表されると言いましたが、これは常に成り立つとは限りません


この式は、事象\(A\)と事象\(B\)が「排反」であるときにしか使えません。


排反って何!?


排反は、次のように定義されます。


排反

事象\(A\)と事象\(B\)が同時に起こることがないとき、2つの事象\(A\) , \(B\)は排反であるという。


排反について、次の簡単な例題で確認してみましょう!


例題2

ジョーカーを除いたトランプ52枚から1枚引く。

このとき、取り出したカードが「エースのカード」または「スペードのカード」である確率を求めよ。


 例題2の解説 

「エースのカード」を引く事象を\(A\)、「スペードのカード」を引く事象を\(B\)としましょう。


エースのカードは全部で4枚あるので、事象\(A\)が起こる確率\(P(A)\)は、

$$P(A)=\frac{4}{52}$$

です。

あとで\(P(A)\)と\(P(B)\)を足すので、あえて約分をしていないよ!

一方、スペードのカードは全部で13枚あるので、事象\(B\)が起こる確率\(P(B)\)は、

$$P(B)=\frac{13}{52}$$

です。


では、「取り出したカードが『エースのカード』または『スペードのカード』である確率」は、

$$P(A)+P(B)=\frac{4}{52}+\frac{13}{52}=\frac{17}{52}$$

でいいでしょうか?


実は、これでは間違いです。


なんで!?


先ほども説明したように、\(P(A)+P(B)\)が成り立つのは、事象\(A\)と事象\(B\)が排反であるとき、

つまりは、事象\(A\)と事象\(B\)が同時に起こらないときに限ります。


今回の問題では、

  事象\(A\):取り出したカードが「エースのカード」

  事象\(B\):取り出したカードが「スペードのカード」

としていますが、これら2つは排反な事象でしょうか?


違いますよね…?


と言うのも、「スペードのエースのカード」を引いたら、事象\(A\)と事象\(B\)が同時に起こります



そのため、「取り出したカードが『エースのカード』または『スペードのカード』である確率」は、\(P(A)+P(B)\)では求められないのです!


じゃあ、どうやって求めるの?

となっていると思いますので、それを解説しましょう。

(例題2つづく)



排反でないときの確率

2つの事象\(A\) , \(B\)が排反のときは、\(A\)または\(B\)が起こる確率は、

$$P(A)+P(B)$$

で求めることができました。


では、2つの事象\(A\) , \(B\)が排反でないときはどうやって求めれば良いのでしょうか?


結論を述べると、次の式を使いましょう。


和事象の確率

2つの事象\(A\) , \(B\)について、

\(A\)または\(B\)が成り立つ確率\(P(A\cup B)\)は、

$$P(A\cup B)=P(A)+P(B)-P(A\cap B)$$

となる。

\(P(A\cap B)\)は事象\(A\)と事象\(B\)が同時に起こる確率だよ!


つまり、事象\(A\)と事象\(B\)で被っている部分\(P(A\cap B)\)を引けばいいよね、って話です。


え、じゃあ排反のときはなんで\(P(A\cap B)\)を引かなくていいの?

と思った方もいるかもしれません。


説明すると、排反というのは、事象\(A\)と事象\(B\)が同時に起こらないと言う意味でした。


ということは、事象\(A\)と事象\(B\)が同時に起こる事象\(A\cap B\)は「なし」です。

数学的にいうと、\(A\cap B=\emptyset\)(空集合)です。


教科書などにもかいてあるように、空集合が起こる確率は\(P(\emptyset)=0\)です。


そのため、排反のときは、

  \(P(A\cup B)=P(A)+P(B)-P(A\cap B)\)

  \(\hspace{4em}=P(A)+P(B)-P(\emptyset)\)

  \(\hspace{4em}=P(A)+P(B)-0\)

  \(\hspace{4em}=P(A)+P(B)\)

とできるので、\(P(A\cup B)=P(A)+P(B)\)が成り立っていたのです。


\(A\)または\(B\)が成り立つ確率\(P(A\cup B)\)は、

$$P(A\cup B)=P(A)+P(B)-P(A\cap B)$$

で求める!


では、それを踏まえて、例題2をもう一度考えてみましょう!


例題2

ジョーカーを除いたトランプ52枚から1枚引く。

このとき、取り出したカードが「エースのカード」または「スペードのカード」である確率を求めよ。


 例題2の解説(つづき) 

「エースのカード」を引く事象を\(A\)、「スペードのカード」を引く事象を\(B\)としていました。


このとき、

$$P(A)=\frac{4}{52}\ , \ P(B)=\frac{13}{52}$$

でした。


求めたい確率というのは、事象\(A\)または事象\(B\)が起こる確率\(P(A\cup B)\)でしたが、

$$P(A\cup B)=P(A)+P(B)-P(A\cap B)$$

なので、\(P(A\cap B)\)を求める必要がありそうです。


\(P(A\cap B)\)は事象\(A\)と事象\(B\)が同時に起こる確率でした。

つまり、今回の問題では、「取り出したカードが『エースのカード』かつ『スペードのカード』である確率」になります。


それが起こるのは、「スペードのエースのカード」を引いたときだけなので、

$$P(A\cap B)=\frac{1}{52}$$

となります。


よって、「取り出したカードが『エースのカード』または『スペードのカード』である確率」は、

  \(P(A\cup B)=P(A)+P(B)-P(A\cap B)\)

  \(\displaystyle\hspace{4em}=\frac{4}{52}+\frac{13}{52}-\frac{1}{52}\)

  \(\displaystyle\hspace{4em}=\frac{16}{52}\)

  \(\displaystyle\hspace{4em}=\frac{4}{13}\)

となります!

(例題2終わり)



3. 「積の法則」と事象の独立性

独立とは?

第1章では、事象\(A\)かつ事象\(B\)が起こる確率は、それぞれの確率の積、つまり

$$P(A)P(B)$$

で表されると言いましたが、これも常に成り立つとは限りません


この式は、事象\(A\)と事象\(B\)が「独立」であるときにしか使えません。


独立って???

という方のために、独立の定義を書いておきましょう。

独立

事象\(A\)の結果が、事象\(B\)の結果に影響しないとき、2つの事象\(A\) , \(B\)は独立であるという。



例題1のように、別々の袋A,袋Bから玉を一つ取り出すときは、

袋Aから何色の玉を取り出したとしても、袋Bから取り出す玉に影響を与えないので、独立になります。




一方で、2人がくじを1本ずつ引くとき、2人目が当たりを引く確率は、1人目がに引くくじの結果によって変わってきます。

(詳しくは次の節を参照)

1人目が当たりを引いたら、当たりが1本減るから、2人目が当たりを引く確率は低くなるよね?

なので、このときは独立ではありません。


ただし、引いたくじを元に戻すような場合は独立になります。

ソーシャルゲームのガチャとかも独立ですね。

この場合は当たりが減るわけじゃないもんね!


独立でないときの確率

もう少し掘り下げてみましょう。


くじが全部で100本あり、そのうち10本が当たり、90本がハズレです。

2人がくじを1本ずつ引くとき、

  • 事象\(A\):1人目が当たりを引く事象
  • 事象\(B\):2人目が当たりを引く事象

とします。

また、引いたくじは元に戻しません。


このとき、事象\(B\)の結果は事象\(A\)の結果に左右されます。

てことは、\(A\)と\(B\)は独立ではないね!


もし、事象\(A\)が起きたら、

くじは全部で99本で、当たりは9本になるので、事象\(B\)が起こる確率は\(\displaystyle\frac{9}{99}\)です。


一方、事象\(A\)が起きなかった場合は、

くじは全部で99本で、当たりは10本あるので、事象\(B\)が起こる確率は\(\displaystyle\frac{10}{99}\)です。


独立ではない例(くじ)


このように、事象\(A\)が起きるかどうかで、事象\(B\)の確率が変わってきます。


そのため、独立でない事象を扱う際は、

「事象\(A\)が起きた後に事象\(B\)が起きる確率」\(P_A(B)\)と表します。

今回なら\(\displaystyle P_A(B)=\frac{9}{99}\)だね!


さらに、事象\(A\)が起こった後に事象\(B\)が起こる確率を\(P(A\cap B)\)としましょう。


このときは、1人目が当たりを引いて、その上でさらに2人目がさらに当たりを引くので、

$$P(A\cap B)=P(A)P_A(B)=\frac{10}{100}\frac{9}{99}=\frac{1}{110}$$

となります。



したがって、次の結果が成り立ちます。

確率の乗法定理

2つの事象\(A\) , \(B\)がともに起こる確率\(P(A\cap B)\)は、

$$P(A\cap B)=P(A)P_A(B)$$

となる。

ただし、\(P_A(B)\)は事象\(A\)が起こった後に事象\(B\)が起きる確率である。

\(P_A(B)\)は条件付き確率というよ!


第1章で、事象\(A\)と事象\(B\)が独立なら、\(A\)かつ\(B\)が起こる確率は、\(P(A)P(B)\)で表せると説明しました。


事象\(A\)と事象\(B\)が独立のときも、確率の乗法定理が成り立ちます。

ただ、\(B\)が起こる確率は\(A\)に左右されないため、\(P_A(B)\)は単に\(P(B)\)と表せます。


そのため、

$$P(A\cap B)=P(A)P_A(B)=P(A)P(B)$$

となり、ちゃんと第1章で解説した式になるのです。


2つの事象\(A\) , \(B\)がともに起こる確率\(P(A\cap B)\)は、

$$P(A\cap B)=P(A)P_A(B)$$

で求める!

場合の数と確率数学A
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